毎晩胸が熱くなる戦いを見せてくれるツールドフランスも中盤に。
ここで、落ち着いてどうでもいいことを真面目に考察してみたいと思います。
テーマは山岳賞の水玉について。
マイヨジョーヌよりも愛されている?


2019年7月18日現在山岳賞ジャージを着用しているのはウェレンス。 2018年のアラフィリップも衝撃的でした。
これからピレネー、アルプスと向かう中で山岳賞争いは熾烈になってくるはずですが、ここでは勝負の話は置いておき、そのジャージに注目です。
今年100周年ということで強調されているマイヨジョーヌの「黄色」がツールドフランスを象徴する色であることは間違いないのですが、山岳賞の「水玉」もまた非常に特徴的で人気のある柄です。
一部では総合優勝よりも山岳賞の方が賞賛を集め、その象徴である水玉もある意味で黄色よりも「ツールらしい」柄として愛されているとも言えます。
2019年、水玉に大きな変化が
2019年、山岳賞のスポンサーが変わり、水玉のデザインが大きく変わりました。
スポンサーはこれまでのcarrefour(カルフール)から E.Leclerc (ルクレール)へ。
どちらもフランスではよく見かけるスーパーです。
カルフール以前のスポンサーもスーパーのシャンピニオンだったので山岳賞のスポンサーは伝統的にスーパーが多いのでしょうか。
ジャージのデザインをわかりやすく見るためにオフィシャルのレプリカを比べてみます。


明らかに違いますよね。どこが違うかわかりますか?
大きく変化したのは2つのポイント
確かに別物であることはわかるのだけど具体的にどこが違うのかといわれると少し戸惑います。
大きく異なるのは下記2点。
①水玉の配列が違う
②水玉の面積が小さい
①の水玉の配列ですが、これまで斜めに配列されていたのが、今回から縦横に並ぶようになりました。
言葉で言うとわかりにくいのですが、つまり手ぬぐいなどでよく見る「豆絞り」という柄のパターンになったということです。

一般的に水玉というと洋服や装飾も含めて、斜めの配列が多いです。豆絞りパターンは少しひねりの効いた個性的な印象となります。

実は、この配列の変更は山岳賞ジャージの歴史の中で初めての、画期的な変化ではないでしょうか。
1975年にルシアン・ヴァン・インプ選手が着用した初代山岳賞ジャージも斜め配列です。
歴代のジャージを見てみると、ロゴの入れ方など様々な変化はあるにしても、斜め配列は踏襲していたようです。

もう一つのポイント、水玉の大きさですが、今年からこれまでになく、小さなサイズになりました。
こちらは2012年の山岳賞ですが、この水玉はかなり大きい。

水玉には3種類あり、大きい方からコインドット、ポルカドット、ピンドットとなっています。

山岳賞のジャージを英語だとpolka dot と呼ぶことが多いですが、2012年のこれはもはやコインドットです。
2019年サイズ的にはポルカドットですが、歴代のジャージと比較しても小さめで、少し草間彌生さん的な印象も受けます。
シックになった山岳賞
沿道で配っているシャツももちろんこの水玉ですし、山岳賞ポイントゲートのデザインも変わりました。

配列が変わり少し個性的になったこと、水玉が小さくなり全体的に白っぽくなったことからでしょうか、今年の山岳賞はさっぱりした雰囲気になった気がします。
つまりはフランス風なシックでこじゃれた感じ。
最初は見慣れない感じがしましたが、今ではいい感じに見えてきました。
「目線」を変えてみたら
しかし、ここで少し問題が。
収集してきた水玉グッズをちりばめて、ツールデコレーションをするのが楽しみだったのに、デザインが変わってしまったらこれまでの物が使えない?!


気合を入れて作った山岳賞の縁取りも制作時にはまだ水玉の変化に気づいていなかったため旧バージョンだし、ガーランドも去年と同じ布を使って用意してしまいました。


でも気にしません。ヨーロッパでは昔のモノが大事にされる!と開き直ることにしました。
ツールグッズも今売っているモノより、古ければ古いほど価値があります。LCLではない CREDIT LYONNAIS 表記のマイヨジョーヌも高値で売られているし。
それに、何よりもある事実に気づいてしまったのです。
昨年のモノを斜めにしたら2019年バージョンになる!
つまり同じ柄に対して「目線」を変えると今年の配列になる、ということ。


言われてみれば当たり前のことですし、だからどうした、と言われればそれまでなのですが。
気づいた時に嬉しかったのでお知らせしておきます。
ちなみにこの切り方はいわゆるバイアス取りで、布端がほつれないけど布に余分が出る贅沢な使い方。普通に何か作るなら豆絞り柄を購入すればいいでしょう。
水玉ジャージは誰の手に?
山岳賞の水玉に関する考察は以上です。真面目に考えてみたのですが、結局のところ、
結論:2019年の山岳賞はシックになった。
というだけです。本当にどうでもいいことで失礼しました。
というわけで、このシックな山岳賞ジャージを巡る争いが本格化してくる後半戦。ますます目が離せません。